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新都社の長文感想や批評やらのスレ

832 :828:2019/01/19(土) 00:13:57 ID:mMb8qetE0
【『Romansick Children』レビュー 1/3】

〈絵柄とデスゲーム〉
読む前に「えらい社長が描くデスゲーム」ということで気になったのが、「絵柄がデスゲームに向いていないのではないか」ということ。
えらい社長の絵柄はデフォルメが効いていて記号的だ。
コミカルな印象を与える絵柄であるため、デスゲームにおける恐怖や絶望を描くのに限界があるのではないか。
そんな心配をしていたが、読んでみればまったくの大きなお世話であった。

えらい社長の絵柄の武器は「分かりやすさ」だ。
デフォルメされて線は少ないため見やすく、何を描いているのか確実にわかる。
ということはそんな絵柄で恐怖におののくキャラクターを描けば、そのキャラの恐怖や絶望がしっかり読者に「分かる」のだ。

と言ってもそれを可能にするには絵柄だけでは足りない。
影をつけたり顔をアップにするといった視覚的演出、恐怖をあおるストーリー構成も欠かせない。
えらい社長はこれらのレベルも高く、分かりやすい絵柄の長所をさらに活かしている。

本作『Romansick Children』において、作者の描写力不足を感じるシーンは一つもない。

833 :828:2019/01/19(土) 00:15:09 ID:mMb8qetE0
【『Romansick Children』レビュー 2/3】

〈長文説明をどうにかするには〉
分かりやすさは絵柄だけでなく、『Romansick Children』のストーリーにおいても武器になっている。
ゲームのルール、そして攻略法がシンプルで分かりやすい。
さらに私が感嘆したのは、第2ゲームの攻略法を解説するシーンだ。
解説シーンは文章が長くなり、つまらなくなってしまいがちだが、その問題が逆転の発想で解決されている。

第2ゲームの攻略法の解説は、ゲームの攻略が「終わった後」に行われる。
攻略するシーンを絵で描き、その後に文章で解説しているのだ。
すでに攻略が終わっているのだから解説の必要がなくなる。
もちろんストーリー上はそうもいかないが、必要がないということは、読者も読まなくていいということだ。
読まなくていいのなら、どれだけ長い文章でも問題ない。

解説は第12話で行われる。
最初の2ページで攻略法に気付いたきっかけや重要なキーワードが出てくる。
それらは省略できないので、読みやすく描かれている。
しかし3ページ目はかなり文字が詰まっている印象を受ける。
ここで描かれているのは、すでに描写済みの攻略法と、省略しても支障がない補足説明だ。
読み飛ばされてもかまわない情報が一まとめになっているので、3ページ目はザッと読んだだけでもその後のストーリーは理解できる。

文字が多くなってしまうなら、読み飛ばしてもよい構成にすればよいのだ。
この方法は私自身、マンガを描くときに使わせていただこうと思う。

また、この方法を使えば、第1ゲームの解説で出てくる二つのキーワードについての説明も読みやすくできたかもしれない。
毎回同じ構成にするとマンネリに陥る危険もあるが。

834 :828:2019/01/19(土) 00:17:13 ID:mMb8qetE0
【『Romansick Children』レビュー 3/3】

〈王道少年マンガ系デスゲーム〉
「シンプルで分かりやすい」というえらい社長の武器は、作品全体にも活かされている。
デスゲームでは仲間との対立や裏切りなどのイベントがつきものだ。
しかしえらい社長はそうしたお決まりを積極的に排除している。
その結果残ったのは「少女と少年が死の恐怖を超えて困難を克服していく」という、
シンプルで分かりやすく、王道少年マンガのようなまっすぐなストーリーだ。

主人公たちは傷つきながらも互いを信じて力を合わせ、生き延びていく。
謎解き要素もあるデスゲームだが、決して頭の良い奴がドヤ顔で安全に勝つような展開ではない。
血と汗と涙を流して戦ってきたからこそ最終ゲームもクリアすることができた。
そのシーンで胸に熱いものを感じた読者は多いだろう。

デスゲームというのは、人が死ぬ際のグロ描写や、裏切りなどの人間の汚い面を描くのに適したジャンルだ。
しかしそれだけではない。
理不尽な目に遭いながらも打ちのめされずに前進していく。
そんな、人間の強さを描けるジャンルでもある。
『Romansick Children』はそんなことも教えてくれる。

えらい社長が安易にデスゲームの「お決まり」に手を出していたらそうはなっていない。
ジャンルの慣習に縛られず、自分が良いと思うものを描いた結果なのだろう。
それがマンガを描くときに一番大事なことなのかもしれない。


えらい社長は現在、新作のギャンブルマンガを執筆中だという。
個人的にはギャンブルマンガのお決まりに縛られていない作品だと嬉しい。
しかしお決まりどおりに描いても面白くしてくれるだろう。
それだけのマンガ力を持った作家だ。

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